2005.12
1. 特定非営利活動促進法(NPO法)に基づくNPO法人について
市民団体等が行う活動は、広範な分野において、様々な形態があります。
一般的には、ボランティア活動として存在・把握されておりますが、団体である以上「組織的ルール・活動目的の基準・組織実体の基盤」等がなかったりで、市民活動を継続し市民団体を維持して行く際に、様々な支障が指摘されてきました。
そこで、民間団体が、公益を目的とした活動を、活発に且つ健全に行えるような環境整備を図って制定されたのが、「特定非営利活動促進法」です。
本法に基づいて、市民団体(任意団体)が特定非営利活動法人の法人格を取得すると、権利義務の主体となることができ、登記名義人や金融機関の口座名義人となることができ、又契約締結の当事者となることもできます。
しかし、法人としての運営や活動について、情報公開や所轄庁の指導を受ける事となりますし、会計処理は税法上の適用が課されます。
特定非営利活動法人(NPO法人)は、法人が定めた定款や特定非営利活動促進法、及び他の法律並びに所轄庁の指導を遵守し健全な法人の運営が要求されます。
特定非営利活動法人(NPO法人)の設立申請は、事務所が所在する都道府県知事が所轄庁となります。従って、事務所が複数で、且つ2つ以上の都道府県に所在する場合は、内閣総理大臣(内閣府)が所轄庁となります。
2. 特定非営利活動法人(NPO法人)の目的活動
1. 法で定める17のいずれかの活動に該当する活動を行う法人であること。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
2. 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動
3. 特定非営利活動法人(NPO法人)の要件内容
- 営利を目的としないこと。
- 宗教活動や政治活動を主目的としないこと。
- 特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦、支持、反対することを目的にしないこと。
- 特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、事業を行わないこと。
- 特定の政党のために利用しないこと。
- 特定非営利活動に係る事業に支障が生じるほど「その他の事業」(収益事業も含む)を行わないこと。その他の事業の会計については、特定非営利活動に係る事業の会計から区分して経理することが必要であり、その収益は特定非営利活動に係る事業に充てること。
- 暴力団、暴力団又は暴力団の構成員若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと。
- 社員(正会員など総会で議決権を有する者)の資格の得喪について、不当な条件をつけないこと。
- 10人以上の社員を有すること。
- 報酬を受ける役員数が、役員総数の1/3以下であること。
- 役員として、理事3人以上、監事1人以上を置くこと。
- 役員は、成年被後見人又は被保佐人など、法第20条に規定する欠格事由に該当しないこと。
- 各役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が2人以上いないこと。
- 理事又は監事は、それぞれの定数の2/3以上入ること。
-
会計は、次に掲げる会計の原則に従って行うこと。
- 家計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること。
- 財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること。
- 採用する会計処理の基準及び手続については、毎事業年度を通じて適用し、みだりに変更しないこと。
4. 特定非営利活動法人(NPO法人)の設立認証申請に必要な書類
- 設立認可申請書
- 定款
- 役員名簿及び役員のうち報酬を受ける者の名簿
- 各役員の就任承諾書及び宣誓書の写し(謄本)
- 役員の住所及び居所を証する書面
- 社員のうち10人以上の者の名簿
- 確認書(誓約書)
- 設立趣旨書
- 設立について意思の決定を証する議事録の写し(謄本)
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の収支予算書
5. 特定非営利活動法人(NPO法人)の設立における留意点
NPO法人の設立は、その公益性を目的とするため、多くの特徴があります。
設立意思や設立趣旨または目的活動が審査され、且つ一般に公告・縦覧に付される事となります。さらに認証を受けた後、所轄庁に諸々の手続や届出があります。
設立を円滑に進めるには、設立の段階から綿密な計画と相談・打合せが肝要でしょう。