2006.05
1. 在留資格「研修」の概要
外国人の在留資格には、「出入国管理及び難民認定法第2条の2」による別表第1及び第2により、27種に限られております。そして本邦においての活動内容や身分・地位内容が詳細に定められております。
外国の研修生送出先と日本の研修生受入機関とが、国の定める基準を満たすことにより、外国から技術・技能・知識の修得を目的とした研修生を呼び、帰国後はその学んだ技術等を本国において生かして貰うことを目的とした「研修」の在留資格について説明します。
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研修生に対して、日本滞在に必要な経費の実費補填の意味で、研修手当の支給は認められますが、賃金(残業手当含む)、給金等の名目で報酬を支払うことはできません。
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研修生は雇用に伴う社会保険等に加入できませんので、「外国人研修生総合保険」(財団法人国際研修協力機構)や「海外旅行傷害保険」(一般の保険会社)に加入する必要があります。
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研修生は帰国後、日本で修得した技術等で本国産業の発展に寄与することとされています。
2. 在留資格「研修」について
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研修には、「実務研修」と「非実務研修」があります。
- 実務研修とは、実地研修のことであり、生産・販売・役務提供の業務を通じて、技術・技能・知識の修得を目指すものであり、研修総時間数の3分の2以下とすることとされています。
- 非実務研修とは、日本語教育・技術・技能・知識の基礎理論や基本原理の勉強などをいい、そのほか現場の見学・機械操作・工具操作・習熟訓練なども該当し、研修の総時間に占める割合は、3分の1以上とすることとされています。
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研修生の受入機関について
非実務研修生のみを目的とする受入機関については、特に定めはありませんが、実務研修を伴う研修を目的とする場合は、次の機関が該当し、又一定の要件が必要となります。
- 日本の国または地方公共団体が受入
- 一企業が独自で受入
- 組合等が受入(商工会議所、商工会、事業協同組合、農業協同組合等が第一次窓口となる)
- 財団法人国際研修協力機構の指導と支援を受けての受入
3. 在留資格「研修」においての入国するための基準
(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令より)
- 申請人が修得しようとする技術・技能・知識が、同一の作業の反復によって修得できるものでないこと。
- 申請人が18歳以上であり、且つ国籍又は住所を有する国に帰国後、日本で修得した技術・技能・知識を要する業務に従事することが予定されていること。
- 申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技術、技能又は知識を修得しようとすること。
- 申請人が受けようとする研修が、日本の公私の機関(受入れ機関)の常勤の職員で、修得しようとする技術、技能又は知識について5年以上の経験を有する者の下に行われること。
- 受入れ機関が実施する研修の中に、実務研修が含まれている場合は、次の要件を整えていること。(非実務研修生のみを目的とする場合は特に定めはなし。)
- 研修生用の宿泊施設を確保していること。(研修の斡旋機関が確保していることを含む。)
- 研修生用の研修施設を確保していること。
- 申請人を含め受入れ機関に受け入れられている研修生の人数が、その受入れ機関の常勤の職員の総数の20分の1以内であること。
- 研修生の生活の指導を担当する職員(生活指導員)が置かれていること。
- 申請人が研修中に死亡し、負傷し、又は疾病に罹患した場合における保険(労働者災害補償保険を除く。)への加入その他の保障措置を講じていること。
- 研修施設について、労働安全衛生法の規定する安全衛生上必要な措置に準じた措置を講じていること。
- 受入れ機関が実施する研修の中に、実務研修が含まれている場合は、申請人が次のいずれかに該当する外国の機関の常勤の職員であり、且つ、その機関から派遣される者であること。
(但し、合弁企業、現地法人の設立が承認されている場合を除く。)
- 国若しくは地方公共団体の機関又はこれに準ずる機関
- 受入れ機関の合弁企業又は現地法人
- 受入れ機関と引き続き1年以上の取引の実績を有する機関
- 受入れ機関と過去1年間に10億円以上の実績を有する機関
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申請人が受けようとする研修が、法務大臣が告示をもって定める者(商工会議所・事業協同組合・職業訓練法人・農業協同組合等の研修)の場合は、受入機関は次の要件を満たすこと。但し、農業を営む機関の場合は2人以内であること。
受入機関の常勤の職員の総数 |
研修生の人数 |
301人以上 |
常勤の職員の総数の20分の1以内 |
201人以上300人以下 |
15人 |
101人以上200人以下 |
10人 |
51人以上100人以下 |
6人 |
50人以下 |
3人 |
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受入れ機関が実施する研修の中に、実務研修が含まれている場合は、その実務研修を受ける時間が総研修時間の3分の2以下であること。
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受入れ機関・その経営者・管理者・申請人の受ける研修について、申請人を指導する者若しくは生活指導員が、過去3年間に外国人の研修に係る不正行為を行ったことがないこと。
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受入れ機関が行う研修の実施について、日本の国又は地方公共団体の機関以外の機関が斡旋を行う場合は、営利を目的とするものでなく、且つその機関又はその経営者若しくは常勤の職員が過去3年間に外国人の研修に係る不正行為を行ったことがないこと。
4. 技能実習制度について
技能実習制度とは、研修終了後研修成果の評価において一定水準を満たした場合に、研修終了後その企業と雇用契約を交わし、引き続き技能・技術を習得するために在留することができる制度です。技能実習移行対象業種は、技能検定関係や国際研修協力機構において定めがあります。
但し、研修を経ずして直接技能実習に入ることはできず、また技能実習による滞在期間経過後は帰国することとなり、期間延長や在留資格の変更は認められません。
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研修生 |
技能実習生 |
目的 |
勉学 |
就労 |
支払金銭 |
研修手当(生活費の実費等) |
賃金(労働の対価)日本人と同等 |
残業・休日出勤 |
禁止 |
可能(労働関係法令の基準内) |
非実務研修 |
必須(原則として研修期間の3分の1以上) |
必要に応じて |
在留資格 |
研修 |
特定活動 |
在留期間 |
1年または6月 |
1年(最長2年2月迄更新可能) |
保険加入 |
外国人研修生総合保険 海外旅行傷害保険 |
労働保険・社会保険・技能実習生総合保険 |
外国人登録 |
上陸より90日以内 |
特定活動への資格変更から14日以内に変更登録 |