2006.10
会社法において、株式会社の区分を「公開会社」と「非公開会社」に大別しています。
原則的には株式会社は株式の公開を想定しています。会社が社会に果たす役割と、株主の権利を擁護し、健全な会社経営を促進する目的を担っているからでしょう。しかしながら株式の公開を望まず、経営を身近な少人数に依って行い、他人の経営介入を嫌う考え方も日本の社会風土には馴染むものです。
そこで、旧商法204条において「株式譲渡制限」規定を設け、株式の非公開制を認め、また会社法107条で、同趣旨を規定しました。
株式譲渡制限規定を設けるメリットは多くの場合に見い出せます。一般の株主の出現を予定せず、株主は多くの場合知り合い同士ですので、会社の情報の公開も一般的に広範的に行う必要がありません。
平成18年7月7日の官報に、国土交通省令第76号「建設業法施行規則の一部を改正する省令」が掲載されました。その中で、建設業法施行規則第4条、第10条、第19条の4の関係する「別記様式第十七号の二」所謂「注記表」についての内容が公表されています。
それぞれの項目について、更に記載すべき内容が細かく要請されています。
資産の評価基準及び評価方法、固定資産の減価償却の方法、引当金の計上基準、収益及び費用の計上基準、消費税及び地方消費税に相当する額の会計処理の方法、その他貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表作成のための基本となる重要な事項
担保に供している資産及び担保付債務、保証債務・手形遡及債務・重要な係争事件に係る損害賠償義務等の内容及び金額、関係会社に対する短期金銭債権及び長期金銭債権並びに短期金銭債務及び長期金銭債務、取締役・監査役及び執行役との間による取引による取締役・監査役及び執行役に対する金銭債権及び金銭債務、親会社株式の各表示区分の金額
工事進行基準による完成工事高、売上高のうち関係会社に対する部分、売上原価のうち関係会社からの仕入れ高、関係会社との営業取引以外の取引
事業年度末日における発行済株式の種類及び数、事業年度末日に行った剰余金の配当、事業年度の末日後に行う剰余金の配当、事業年度末において発行している新株予約権の目的となる株式の種類及び数
取引の内容、取引条件及び取引条件の決定方針、取引条件の変更の内容及び変更が貸借対照表・損益計算書に与える影響の内容
一株当たりの純資産額、一株当たりの当期純利益又は当期純損失
などです。
株式会社が、株式について譲渡制限の規定を設けることで、上記2・5・12以外の項目については記載が不要となります。
(以上は、官報による国土交通省令第76号「建設業法施行規則の一部を改正する省令」の一部です。)
株主総会を開催し、会社法第309条3項1号に基づく定款変更決議を行います。また、場合により、会社法第219条1項1号によって株券提出に関する公告が必要となります。
法務局への登記手続には、登録免許税として金3万円を要します。